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コーカサス生まれの「ケフィア」で血糖値に対応

 ヨーロッパのコーカサス地方で生まれた発酵乳「ケフィア」をご存じだろうか? 多くの種類の乳酸菌や酵母が複合発酵した乳製品で、ロシアではヨーグルトよりも飲まれているという。健康、美容への効果も古くから研究されてきたが、九州大大学院の実験では、血糖値を下げる抗糖尿効果も実証された。そのほか、免疫力アップや抗ストレス作用、紫外線・放射線で傷ついたDNAを修復する作用も認められたという。

 ケフィアは長寿の地域として知られるコーカサス地方に誕生し、2000年以上も愛飲されている。外見はヨーグルトに似ているが、違うのは発酵の仕方。ヨーグルトが1、2種類の乳酸菌の単体発酵なのに対して、ケフィアは数種類の乳酸菌と酵母が複合発酵する。味もヨーグルトより酸味が少なく、マイルドだ。健康や美容への効能が古くから注目され、世界で研究が続けられている。

 九州大大学院の白畑実隆教授が、マウスを使って行った実験では、ケフィアに血糖値を下げる効果が認められた。高度の糖尿病を発症したマウスにケフィアを14週にわたって投与したところ、投与しなかったマウスと比較して、明らかに血糖値の上昇が抑制された。白畑教授は「市販の糖尿病薬と同程度の効能が確認されました。ケフィアの中のいろいろな成分が作用していると思われます。ヨーグルト、牛乳でも同じ実験をしましたが、有意な差は見られませんでした」と話した。

数種類の乳酸菌と酵母が複合発酵

種菌のケフィアグレイン
種菌のケフィアグレイン

 血糖値を下げるためには「インスリンを活性化させる」「運動療法でAMPキナーゼを活性化させる」という方法が一般に知られるが、白畑教授によると「ケフィアにはその両方の働きがあります」と説明する。日本ではマウス実験の段階だが、ロシアでは臨床実験も行われ、効果が実証されているという。

 また、白畑教授の実験では、免疫力アップや坑ストレス効果も認められた。特に顕著なのが、紫外線や放射線で傷ついたDNAを修復する効果。「これは、ほかの食品ではほとんどみられない効能です。発酵が関係していると思われます」と推測する。多種類の乳酸菌と酵母が共生して発酵するという複雑な過程が、さまざまな効能を生み出しているとみられる。

 ケフィアは日本ではまだまだ知名度が低いが、健康に関心の高い層には熱烈なファンもいる。日本で販売されているケフィアは、ロシアのケフィアグレイン(種菌)を輸入して製造している。発酵を途中で止めることができないため、ヨーグルトのように容器で市販することができない。自宅で牛乳に粉末状のケフィアを入れ、常温で発酵させるのが一般的だ。健康や美容が気になる人は、1度試してみる価値がありそうだ。








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